東海国立大学機構 名古屋大学 情報連携推進本部

理念と戦略目標

名古屋大学が置かれている状況

インターネット、そしてそれに接続する種々のITデバイスが重要な社会基盤となった今日、大学の教育・研究における情報通信技術(ICT)の利用は広範囲に拡大している。携帯型ITデバイスの進化が、大学における教育研究環境を大きく変え始めていることは言うまでもない。今後、教育・研究をさらに高度化・支援するために、適切かつ効率的な情報環境を整備し、多様なニーズに対する迅速かつ柔軟な対応が必要となっている。その実現には、情報環境の核を構成する情報基盤、情報サービスおよび利用者の三要素のそれぞれを一層充実し、情報環境全体を適切に発展させることが不可欠である。そのためには、大学は一貫した理念にそった情報環境マスタープランを立案する必要がある。しかしながら、これまでは、情報環境整備は、全学的な計画がなく、情報連携統括本部および各部局においてそれぞれ個別に整備されてきた。

大学の様々な活動が、国内だけでなく国際的な広がりを緊密にしていく中で、優れた教育・研究環境を提供するために、大学の情報環境もまた、国際的に高い水準である必要がある。そのためには、情報環境は、情報基盤、情報サービスおよび利用者に関する多様化するニーズの優先順位を明確化し、利便性、安全性および信頼性に配慮しつつ、必要な情報環境を効率的かつ経済的に実現するには、マスタープランを全学で策定し、共通理解を確保することが必要である。

このような背景の下、名古屋大学情報連携統括本部では、2010年4月に「名古屋大学情報環境マスタープラン2010」を制定し、平成22年度から平成27年度までの6年間、本マスタープランに則り情報環境の整備に努めてきた。e-learningシステムのNUCT、教育研究向けファイルサービスNUSSなど構成員の教育研究活動に密接に関係するサービスの開始、情報セキュリティ研修、情報セキュリティ自己点検、ソフトウエア資産管理などの情報コンプライアンスにかかわる諸活動、ペタフロップス級のスーパーコンピュータとそこで生まれるデータを可視化できる大規模可視化システムの導入に代表される世界最先端の研究を情報の側面から支える設備導入を進めてきた。

一方、高等教育機関である名古屋大学においてその主役となる学生の情報環境に対する接し方も大きく変化してきている。最初に接する情報デバイスがスマートフォンであるなど、この5年間において我々を取り巻く情報環境は大きく様変わりしている。このような情報環境の変化も踏まえて、名古屋大学情報環境マスタープランを変更していくことも重要であると考える。

情報環境マスタープラン策定の理念と基本方針

名古屋大学情報環境マスタープランは、名古屋大学の学術憲章に示される基本理念である「人間性と科学の調和的発展」と「高度な研究と教育の実践」を礎として、情報環境整備における理念と基本戦略・実施計画を全学で策定し、共有するものである。

その理念は、高度な教育の実践と研究の場にふさわしい魅力的かつ先進的な情報環境へと発展させることを目指し、それを構成する情報基盤、情報サービスおよび利用者を調和させて構築することである。また、高度な研究と教育の実践の過程や状況、将来予測が具体的な論拠をもって示すことができるよう、ICTによる「可視化とそれに基づく高度化」(以下、「可視化と高度化」と省略)の支援を推進する。さまざまな活動の実践過程や状況を把握し、可視化・分析して当事者に提供することによって、螺旋状に活動を高度化することを支援するものである。

情報環境マスタープランに基づく情報環境の構築に際しては、可視化と高度化に必要なデータの収集・統合を情報環境の各要素について実施する。情報基盤と情報サービスを戦略的かつ計画的に構築し運用する一方で、利用者が自らICT活用能力を高めることに努めるよう環境を整え、情報環境全体の水準向上を目指す。その際、利便性、安全性および信頼性の3つの観点から、多角的に評価する。

名古屋大学情報環境マスタープランは、大学の総合的な戦略マップにおける情報環境整備戦略として位置づけ、情報連携統括本部情報戦略室がその策定と推進において中心的な役割を担うものとする。すでに策定されている情報環境関連の利用規程および名古屋大学情報セキュリティポリシー・ガイドラインは、本マスタープランに適合させ、明確に位置づける。本マスタープランは名古屋大学の中期計画に合わせて6年ごとに見ないし、名古屋大学に対する社会的要請、情報環境の変化を見据えながら改定するものとする。

基本となる戦略

情報環境を構成する情報基盤、情報サービスおよび利用者について、(1)利用者中心、(2)長期ビジョンに基づくマイルストンの設定、(3)実施体制の高度化、の3つの基本戦略を定め、ICTによる可視化と高度化を核とする情報環境の整備を推進する。

基本戦略(1)利用者中心

利用者として、(1) 教職員・学生を中心とした利用者群、(2) 学内組織運営に関わる利用者群、(3) 地域・社会の利用者群の3つに分類し、それぞれの利用者群のニーズを反映した満足度の高い情報環境の長期的な設計を進め、各利用者群への貢献が段階的に拡大するように情報環境を整備する。同時に、利用者の情報リテラシーを高める。先進的な情報環境を導入する努力を怠らず、利用者に対して適切な情報環境を提供する努力が必要である。

基本戦略(2)長期ビジョンに基づくマイルストンの設定

名古屋大学の基本理念と情報環境マスタープランの理念に沿った、10年以上に渡るゆるやかな長期ビジョンに基づき、情報環境に関する長中期計画を策定・維持する。 名古屋大学中期目標の一期6年を単位として、各中期目標・中期計画の方向性を戦略的に与え、期末ごとのマイルストンとその達成に必要な計画を定める。

基本戦略(3)実施体制の高度化

情報関連組織の高度化と人材育成を行いつつ、魅力ある情報環境の整備を行う。

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