名古屋大学 学術データポリシー 解説
令和2年9月25日 研究戦略・社会連携推進分科会 研究データ基盤整備部会
ポリシー制定の趣旨と構成
「名古屋大学 学術データポリシー」(本ポリシー)の骨子は、
(1) 学術データの管理、公開、利活用の方法は、それを収集・生成した者が主体的に決定できること、
を確認すること、および、そのもとで、
(2) 名古屋大学の構成員は自らが収集・生成した学術データを適切に扱うべきであること、
(3) 名古屋大学はその構成員による学術データの管理等の活動を支援すべきであること、
を明確にすることにある。
上記の(1), (2), (3)は、本ポリシーの第3, 4, 5項にそれぞれ対応している。
1. (目的)
(目的)
1. 名古屋大学は、名古屋大学学術憲章に基づき、人間と社会と自然に関する研究と教育を通じて、人々の幸福に貢献することを使命とする。そのため、名古屋大学は、研究と教育に関する学術活動によって産み出された知的成果を蓄積し、それを社会に還元することで、人類の福祉と文化の発展および産業の振興を目指す。
本ポリシーは、以上の理念のもと、名古屋大学における学術データの管理ならびに公開および利活用の原則を定める。
- 本ポリシーは、名古屋大学学術憲章の理念のもとに策定するものである。学術憲章では、研究と教育を総称して「学術」としており、本ポリシーにおける「学術」もそれに従う。
2. (学術データの定義)
(学術データの定義)
2. 本ポリシーが対象とする学術データは、名古屋大学における研究と教育に関する学術活動を通じて収集または生成されたデータをいう。
- 学術データとは、研究と教育に関する学術活動を通じて取り扱うデータをいう。デジタルか否かは問わない。収集または生成したデータだけでなく、それらを解析または加工して作成したデータも含まれる。研究活動で取り扱うデータとして、「観測データ」、「試験データ」、「調査データ」、「実験ノート」、「メディアコンテンツ」、「プログラム」、「標本」、「史資料」、「論文」、「発表予稿」、「講演資料」等がある。教育活動で取り扱うデータとして、「教科書」、「配布資料」、「講義スライド」、「講義映像」、「補助教材」、および、それらを作成するための素材等がある。
- 本ポリシーが対象とする学術データには、学外の研究者や講師が、共同研究、施設利用、学術講演会、公開講座等、名古屋大学における学術活動を通して収集または生成したデータも含まれる。学生が教育を受ける上で収集または生成したデータは含まれない。
- 大学構成員が、以前に在籍した機関で収集または生成した学術データであっても、名古屋大学在籍中にこれらを保持している場合には、本ポリシーの対象となる。
3. (学術データの管理等)
(学術データの管理等)
3. 学術データの管理ならびに公開および利活用の方法は、それを収集または生成した者が、法令および名古屋大学の規程その他これに準ずるものの範囲内ならびに他の者の権利および法的利益を害さない範囲内において、決定することができる。
- 学術データを収集または生成した者は、原則として、それをどのように管理し、公開し、利活用させるかについて決定することができ、これらを名古屋大学が一方的に定めることはない。ただし、その決定は、法令および名古屋大学の規程上許される範囲にとどまるべきことはもとより、当該データについて第三者が権利や法的利益を持つ場合(例えば、データが第三者の著作物や個人情報を含んでいる場合)には、それらを害してはならないという制約を受ける。
- 学術データの管理とは、データの収集、生成、整理、解析、加工、共有 、保存、破棄等、学術活動の開始から終了までの学術データの取扱いを定め、これを実践することをさす。
- 本ポリシーでは、学術データに関わる一連の行為の中でも、「知的成果の社会還元」を重視し、学術データの「公開」と「利活用」を強調している。ここでいう学術データの公開とは、学術データを他の者が利用できる状態にすること、学術データの利活用 とは、公開した学術データから、より多くの知的成果等が生み出されるよう、データの価値を高めることをさす。
4. (大学構成員の責務)
(大学構成員の責務)
4. 名古屋大学の構成員であって、研究または教育に携わる者(以下、「大学構成員」という。)は、前項に掲げる範囲内において、学術データを適切に管理し、可能な限りそれを公開し、利活用に供する。
- 研究・教育に携わる者とは、名古屋大学における研究・教育活動を主体的に担う者をいう。教育を受けることや研究・教育活動を事務的に支援することは、「研究・教育活動を主体的に担う」に該当しない。
- 大学構成員は、異動または退職する場合、その管理する学術データの取扱いをあらかじめ決めなければならない。
5. (大学の責務)
(大学の責務)
5. 名古屋大学は、学術データの管理ならびに公開および利活用を支援する環境を大学構成員に提供するものとする。
-
名古屋大学が大学構成員に提供する支援環境として以下が考えられる。
- 学術データを管理するためのデータプラットフォームを提供する。
- 研究データ管理計画等、学術データの管理に関する計画や行動を支援する。
- 学術データを公開するためのデータリポジトリを提供する。
- 公開する学術データのメタデータ作成を支援する。
- 学術データの共同研究や産学連携、アウトリーチ、授業等での利活用を支援する。
- 学術データに関する契約、法務等を支援する。
- 学術データ管理の取組みを奨励し、また実績を評価する。
- 学術データの管理、公開、利活用に関わる規程・実施要項等を定める。
- 学術データの管理、公開、利活用に関して啓発する。