大規模計算支援環境研究部門

身近な大規模計算環境を目指して

 大規模計算支援環境研究部門では、スーパーコンピュータをより簡単に、そしてより効率的に使えるような環境の構築や、運用に関する研究を行っています。また、自動チューニング専用言語の開発や構造シミュレーション、地震発生波の数値計算などの分野をテーマに、並列コンピューティングおよび分散コンピューティングに関する研究を行っています。

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大規模計算環境(スパコン、スーパーコンピュータ「不老」Type IサブシステムおよびType IIサブシステム)

自動チューニング専用言語の開発

 科学技術計算で行われる数値計算シミュレーションを実行する際に,スーパーコンピュータに搭載される最先端計算機において高性能を引き出すためには,計算機アーキテクチャと数値計算アルゴリズムの双方について高度な専門知識が必要とされます。またコード最適化のために試行実行を多数行う必要があり,時間的なコストを要します。この背景から,多様な計算機環境で高性能を発揮する自動性能チューニング(以降,AT)技術開発に期待が寄せられています。本研究では,任意のコードにAT機能を自動付加する専用言語ppOpen-ATの開発とAT方式の評価を,運用中の最先端スーパーコンピュータを用いて行っています。

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自動チューニング専用言語による処理の流れ

GPUを用いた高性能計算

 GPU(Graphics Processing Unit)は画像処理を行うために開発されたハードウェアですが、多数の計算を並列に高速に行うことができるため、様々なアプリケーションの高速化に活用されています。特に近年では機械学習・AI処理を高速に行えるため注目が集まっています。

 GPUはどのような計算でも高速に行えるわけではありません。例えば、たくさん同時に計算できる部分が多かったり、条件判定のような処理が少ない問題は得意です。

 本研究では、GPUを用いた高速な計算方法や実装方法を考えたり、それらを用いてアプリケーションの高速化をする研究をしています。

大規模構造シミュレーション

 防災・減災に向けて、大規模人工物の構造物健全性評価を高精度かつ高速に実施することが重要となります。そこで、有限要素法などで得られる大規模疎行列に対する、高速安定な反復法や効率的な負荷分散方法の研究開発を進めています。 また、周波数領域での順問題・逆問題に対応した、任意の異方性・分散性をもつ構造体(たとえば地球内部)の波動場を高精度に解くための理論の開発と数値的検証を行っています。本研究により、地球内部構造の推定、地震火山予測研究、物理探査、原子炉等の構造物健全性評価などの分野において新しいアプローチが開けることが期待できます。

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古代建築物パンテオンの応力解析例

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弾性波動場解析

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